国内線運賃25%上昇 観光業界への打撃も

国内線のエコノミークラスの航空運賃の平均価格が、前年比で25%上昇している。高値が続けば、旅行会社やホテルなど観光業界への打撃も大きくなると専門家は分析している。

写真㊤=ヴァンドン(クアンニン省)国際空港で、旅客機から降りてくる乗客(VNA/VNS )

ベトナム国内線の航空運賃の上昇は今、家族旅行などを計画している人にとって、頭の痛い問題となっている。アジア太平洋航空協会のサバス・メノン統括部長は「ベトナムに限らず、航空運賃の高騰は世界的な流れだ。価格は、需要と供給のバランスによって決まってくる。需要が供給の方が大きいから価格が上がっているというのが、現在の状況だ」と話す。

金融アカデミーの経済学者、ディン・トン・チン氏は、ニュースメディアのコンスオン(congthuong).vnの取材に対し、「ベトナムにはそもそも航空会社が少なく、旅客機の数が少ない。しかも、航空機には検査や修理が不可欠だ。新規でリースされる民間航空の航空機も深刻なまでに少なくなっている」と背景を説明する。

「先進国の場合、旅客需要の高まりが、航空会社に大きな恩恵をもたらしている。旅客者数の規模も大きいことも、コスト削減につながっている。これらの国には、手頃な価格の格安航空会社も複数ある。市場の競争力アップに伴い、税金や各種料金の削減も考慮されている。ベトナムも、航空機が多くなれば、競争力が高まり、低価格な航空券も提供できるようになる」

業界の専門家によると、航空会社と観光業界、顧客の三者の利害をバランスさせるには、航空会社が料金を安くするだけでなく、旅行会社やホテルといった観光、サービス業界との連係が不可欠だ。手ごろな価格のパック旅行の企画も解決策の一つ。航関係業界でチームを組み、航空運賃から宿泊、遊びまで「全部入り」のパックを用意し、旅行者が時間とお金を節約できる一つの選択肢となりうるとの声もある。


ベトナム最初の大学、ヴァンミウ(孔子廟)を訪れる外国人観光客(VNA/VNS Photo Trần Việt)

格安航空、ベトラベル航空のグエン・クオック・キ社長は、このほどホーチミン市で開かれた会議で、「航空機の不足と、価格の高止まりは、少なくとも今年いっぱい続くだろう。値下げには、多くの部門の協力が必要となる」と訴えた。新規路線の就航などの際、地方当局が航空会社の支援を検討していることにも触れ、「その見返りとして、航空会社側は予約の保証金を削減することなども実現可能な選択肢の一つ」と提案。「地方当局と観光サービス業、旅行会社、航空会社は、国民の互助精神のもと、互いに支え合うべきだ」と呼びかけた。

こうした発言に同調する声は多く、業界として政府に対し、観光活性化と航空業界の状況改善に向けた減税や各種費用の削減を請願した。今後、税や空港使用料の削減が実現すれば、航空会社の運営コストの削減につながり、ひいては、航空運賃の値下げにつながる可能性も出てくる。

交通運輸省はベトナム民間航空局(CAAV)に対して、国と航空会社、旅行者の三者が利する形で国内航空運賃を下げる解決策を調査するよう指示。同時に、航空券販売におけるコンプライアンスの維持と違反にも目を光らせるよう求めた。