都市部で人気のサービスオフィス 利便性やビジネスチャンスを追求

ベトナムの経済発展とともに、ハノイなどの都市部ではサービスオフィスとよばれる事業が盛んになってきている。リージャス(Regus)やCEOスイートといった大手のグローバル企業が運営するもののほか、最近ではベトナムの国内企業が運営するサービスオフィスも注目を集めている。(VNLハノイ)

サービスオフィスとは、企業経営に必要な備品や空間を賃貸するレンタルオフィス事業に加え、共有スペースや受付業務などさまざまな企業支援のサービスも合わせて提供する。近代的な設備を備えながら、初期投資が抑えられる利便性から、ハノイ市やホーチミン市、ダナン市などで、この10年間ほどに急速に広まった。

これまでは外資系の運営企業が中心だったのだが、最近、ベトナムの文化やインテリアデザインを大切にした国内企業による運営も始まっている。その代表例が、トーンベトナム(TOONG VIETNAM、http://toong.com.vn/gioi-thieu.html)社だ。

同社は現在、ハノイに3カ所、ホーチミンに3カ所のサービスオフィスを構えるほか、ラオスでも同様の事業を始めたという。

共有オフィスやプライベートオフィス、貸会議室などを展開するが、もっとも人気が高いのが、共有オフィスだという。利用者が集まり、交流することで、共同プロジェクトなどのビジネスチャンスを生む、というコンセプトが、ベトナムの起業家精神にマッチ。創業間もない企業の経営者や個人事業主にとって、大きな魅力となっている。

トーンベトナムの共有オフィスの一角にはカフェが併設され、開放的な雰囲気。入居するベンチャー企業や個人事業主も優秀で意欲的な人が多く、刺激的な空間となっている。一方で、打ち合わせなどに使える落ち着いた共有スペース=写真㊦=は、ベトナムの伝統的な雰囲気を残すインテリアにこだわった。

同社のチャンティ(Trang Thi)サービスオフィスはハノイ市の中心部、ホアンキエム区のチャンティ通り8番地にある。フランス統治時代に建てられたという古い建物を活用し、内部の空間とデザインをリニューアルした。受付代行のサービスに加え、インターネット接続やコピー機なども完備しており、自社オフィスを構えるための初期投資を抑えるメリットも大きいという。

供用スペースには、入居者らの写真をはった掲示板や、読書コーナーなどもある。

同社のサービスオフィスの契約は、1カ月、3カ月、半年、1年間以上といったさまざまなモデルがあり、1日だけの利用も可能だ。ベトナムで週刊誌を発行する、日系企業など、同社のサービスオフィスを拠点として利用する日系企業も増えている。

共有オフィスの一日の利用料金は、12万ドン(約600円)ととても手ごろ。

ハノイに出張などで来られた日本人ビジネスマンも、一度、利用してみてはいかがだろうか。ベトナムのベンチャー企業の第一線を見ることができるはずだ。