NYタイムズが〝ロープウェー王国〟特集 建設ラッシュの背景

米紙、ニューヨーク・タイムズが、世界最長のフーコック島のロープウェーをはじめとするベトナム各地のロープウェーを特集記事で紹介した。近年のロープウェーの〝建設ラッシュ〟を「経済と観光産業の目覚ましい変革の証拠」とし、これらのプロジェクトを手掛けてきた大手不動産開発、サングループにも言及している。記事は同紙ホームページの旅行部門で一時トップになった。

写真㊤=フーコック島とホントム島を結ぶ世界最長のロープウェー。青い海を眼下、15分間の空中散歩が楽しめる

フーコック島のロープウェーは全長7899.9㍍で。同島からテーマパーク「サンワールド・ホントム・ネイチャーパーク」ある隣のホントム島まで15分間、視界いっぱいに広がる青い海を楽しみながら空中散歩が満喫できる。同テーマパークは、凱旋門など世界の観光地を再現し、ロープウェーのターミナルもローマのコロッセオ風の造りになっている。


フーコック島のサンセットタウンは、地中海風の街並みが再現されている

記事のタイトルは「ホントム島へ向かうフーコックの世界三大ロープウェー。〝コロッセウム〟に行ってロープウェーに乗ろう」。現地でロープウェーに乗った記者は、島周辺の海を「水晶のように透明」と感激した様子。このほか、ゴールデンブリッジや中世の欧州の街を再現したことで有名なダナンのテーマパーク「サンワールド バーナーヒルズ」にいたるバーナー山のロープウェーや、ラオカイ省サパのベトナム最高峰、ファンスピアンの山頂ロープウェーについても紹介している。


バーナー山のロープウェー

ロープウェーがベトナムを世界に

「ベトナムには世界の四大ロープウェーがあり、すべて過去10年に建設された新しいものであることが、この国の経済と観光の変革を示している」。同紙は、こう指摘し、これらメジャーなロープウェーのすべてが、サングループによって開発されていることを強調している。

同グループはまず2007年、ロープウェーのリーディングカンパニーであるオーストリアのドッペルマイヤーとのコラボによって、バーナー山の山頂まで6㌔のロープウェーを建設。以来、ロープウェーを備えた 6 つの「サン ワールド エリア」を開発するとともに、フーコックの世界最長のロープウェー、カットバ(ハイフォン市)の世界で最も高いケーブルタワーなど9件のギネス記録を達成した。

世界のロープウェー開発産業を網羅するウエブサイト「ゴンドラ・プロジェクト」を運営する、スティーブン・デール氏は「ロープウェー開発において、アジアで最も成功しているのはベトナムだ」と話す。こうした〝建設ラッシュ〟の背景には、山や森、島が豊富にあるベトナムの国土は、ロープウェーの建設に適していることもあるという。また、道路に比較して建設期間が早いうえに費用も安く、環境への負荷も少ない。業界の統計によると、過去20年間に26のロープウェーがベトナム国内で建設されたという。


ファンシーパン山頂のロープウェー

同紙は、ベトナムのような発展途上国にとって、ロープウェーの存在意義が大きいとみる。なぜなら、「この国の中間層は、ローマ やパリといった欧州旅行にはおいそれとは行けないものの、バーナーヒルズやフーコックの欧州風テーマパークなら、25~ 45㌦(約3700~6700)のロープウェーのチケットを買えば、簡単に行くことができる」。こうした理由から、ロープウェーは、観光客の急増など地元経済にも大きく貢献していることも紹介している。


「サンワールド バーナーヒルズ」に再現された欧州の中世の街