伝統歌劇の若手育成 ユーチューブなど活用

ベトナム伝統の歌劇、カイルオンを保存継承しようと、国民的スターのバィック・チュエットさんが、動画配信サイト、ユーチューブを通じてトレーニングや指導をするプロジェクトの準備を進めている。若い世代への普及、継承を進めていきたい考えだ。

写真㊤=ベトナム伝統の歌劇、カイルオンのワンシーン

カイルオンは、伝統音楽のドンカタイトゥや地域の民謡などをルーツにベトナム南部で生まれた歌劇で、100年の歴史がある。


バィック・チュエットさん

チュエットさんは早くからカイルオンに親しみ、1960~70年にかけて地域のスターに。これまでに何百という舞台やテレビ番組に出演、数々のアルバムを発表するなど、この道で60年のキャリアを積んできた。社会問題をあつかうカイルオンのテレビ番組やビデオ、アルバムの制作にも携わってきた。2018年からはユーチューブで、ポップミュージックやラップソングとコラボしたアート作品なども発表、2022年の作品は35万8000ビューを記録。これまでにも若手のレッスンを行ってきたほか、書籍や教則本も多数出版している。

チュエットさんが進めるプロジェクト「ホック・ビエン・カイルオン(ベトナムオペラ学習)」は、芸術学校の生徒や若い劇団員が対象で、今年の早い段階でオンライントレーニングをスタートする予定だ。生徒は、チュエットさんらによる試験で選抜。合格した生徒にカイルオンの歌と音楽、踊りを学んでもらった後、それぞれのレベルにあったトレーニングを行う。
生徒は、国民的スターとして知られるチャン・ハンさんやチャウ・チャンさん、チャン・チュアンさんらとともにカイルオンを学ぶことができる。

今回のプロジェクトについて、チュエットさんは「オンラインのレッスンでカイルオンを愛する若い人を支援できれば。カイルオンを通してベトナムの文化やライフスタイルを世界中の閲覧者に発信したい」と意気込んでいる。