ゾウや銅鑼、少数民族の文化を満喫 ダクラク省ブオンドン村

ベトナム南中部高原地方のダクラク省ブオンドン村では、少数民族が2世紀にもわたり、野生のアジアゾウを飼い馴らしてきた。この「ゾウの文化」をはじめ、独特の生活様式や食、音楽など長年守られてきたこの南中部高原地方の伝統が、最近、観光客らの注目を集めているという。

ゾウの文化は、ダクラク省からザライ省、コントゥム省にまたがる一帯で、エデ族、ムノン族、ジェライ族などの少数民族が守り続けてきた。この地方独特の文化的シンボルになっており、一帯は国内や海外からの観光客が近年急増している。ゾウに乗ったり、村の家に宿泊して独特の文化に触れたりできる体験型の観光が最大の魅力だ。


ゾウに乗ってセレポク川を渡る観光客ら

ダクラク省の省都バンメトートの北西約40キロの山中にあるブオンドン村では、野生のアジアゾウを捕獲し、飼い馴らす技術などについて、村人から話を聞くことができる。また、ゾウの背中に乗ってセレポク川を渡るといった楽しみもある。


ベトナム語でSiと呼ばれる巨大な古木の下で記念撮影


ドン村のつり橋。これもスリルたっぷりの観光名所のひとつだ


ドン村の民家。観光客らが宿泊することもできる

この古い民家は、築後130年もたっている。ベトナムでもめずらしい、この地方に特徴的な高床式の家だ。18頭のゾウを使って1883年に着工されたというこの建築物は、1885年に完成したとの記録が残っている。くぎやねじなども、すべて木で作られているのが特徴だ。

この地方では、さまざまな少数民族がゴング(銅鑼)を神聖視し、信仰や儀式などで演奏してきた伝統がある。このゴングの音を通じて、観光客らがそれぞれの民族の心を感じることができ、「ゴングの文化的空間」として2009年、ユネスコの無形文化遺産にも認定されている。


ゴングを使った演奏と踊り。音楽も舞踊もこの土地独特の魅力がある

国内、国外からの観光客の増加に伴って、ブオンドン村をはじめ中部高原では最近、観光客を受け入れるためのインフラ設備を進めている。ビエット・ディエン・ホテルなど客室を整備した宿泊施設が開業したほか、Wi-Fiなど観光客が求める設備も整備された。また、郷土料理の名産を味わえる店も増えており、今後も注目を集めそうだ。