2回目の米朝首脳会談、開催地・ベトナムに好機を~ベトナム外交筋のイメージ

ベトナムが2回目の米朝首脳会談(2月27日、28日)の開催場所に選ばれた。この選択は、ベトナムが基本的に多くの面で、会議の成功を確実にするための要素を集めていることを示している。特に地政学と安全な環境だ。

地政学について
ここ数年間、ベトナムは経済、社会、外交などの面で重要な成果を達成し、徐々に困難を乗り越え、持続可能な開発となった。また、多国間、二国間の多くのメカニズムにおいて責任を負い、積極的なメンバーだ。国際社会におけるベトナムの立場、役割、評判はますます確定されている。

北朝鮮から約2760キロの距離にあるハノイは北朝鮮にとって便利な場所であり、北朝鮮代表団の移動計画に複数の選択肢が可能になる(中国の領土を通って陸路で移動すること含む)。さらに、米国と北朝鮮がともにハノイに大使館があることは、会議の準備過程において有益だっただろう。

ベトナムは米国と北朝鮮の両国と友好関係を結んでいる。ベトナムと米国は1995年の国交正常化以来、経済、政治、安全保障、国防など多くの分野で大きな進歩を遂げてきた。

二国間貿易額は4億51004万ドル(1995年)から630億米ドル(2018年)にまで拡大。現在、ベトナムは地域に対する米国の政策において、重要なパートナーとなっている。

ベトナムと北朝鮮との関係については1950年から長年の歴史を持つ。北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長の祖父である故金日成(キム・イルソン)主席は1958年と1964年にハノイを訪問した。ベトナムは、現在、北朝鮮が良好な関係を持って、信頼できる国の一つだ。

開催に必要な安全保障、安全性の確保条件及び開催経験について
近年、国際社会によって評価されるベトナムの特徴の一つは、安全保障及び政治の環境が非常に安定していることだ。特に最近は、2017年のアジア太平洋経済協力フォーラム、2018年の世界経済フォーラム、主要な国際的および地域的なイベントを開催する能力を証明した。

その他、集中経済モデル、官僚主義を経験したベトナムは、経済、社会および外交の面で印象的な発展があった。特に、米国との友好関係で、「敵国同士」から「包括的パートナー」に状態が変わったことは米国が関心を持つ事柄となった。米国側は「これらの要素が対内・対外政策の展開、特に米国との関係の対応に臨む北朝鮮にヒントになるのでは」と期待する。以前ベトナムにおいて、米国の企業コミュニティと米国のパートナーに向けてスピーチをした時に、米国のマイク・ポンペオ国務長官は「ベトナムの経済魔法は北朝鮮のものにもなれる」などと述べた。

米朝首脳会談のような政治的に極めて重要な意味を持つ外交イベントの開催は、ベトナムに自国の経済、社会の成果をアピールすると共に地域と国際社会での活動における地政学の重要性を再確認させる機会をもたらす。

ベトナムの国や人々のことを紹介できる機会
2回目の米朝首脳会談の開催地としてベトナムは世界の注目を集めている。ベトナムの国のイメージやベトナムの人々、経済情勢、政治、観光地のことは会談の前、会談中、事後もCNNやBBC、APなどのメディアそしてフェイスブックやツイッターなどで、注目のテーマになる。

国際社会におけるベトナムの地位、役割の高まり
ベトナムは政治、外交の側面で様々な利益を受けることになるだろう。
◇開催地の役割として米朝の対話に対して支援や働きかけを行ったのは、ベトナムが北朝鮮、米国のみならず、韓国を含む関係各国にとってより信頼できるパートナーになることに繋がる。パートナーからの信頼は、ベトナムの外交にとって重要な成果となる。

◇ベトナムは「世界のすべての国々と友好を深めたいことや交流を多様化させること、国際社会において責任感のあるメンバーになる心得が出来ること」といった外交政策の一貫性を示し、その正確さを主張できる。

◇国際問題、特に地域および世界の安全保障問題への解決におけるベトナムの威信と役割が強化できる。つまり、重要なイベントとして域内の安全保障や安定に影響を及ぼすような2回目の米朝首脳会談の開催地に選択されたことは、ベトナムにとって好機になる。

これまでベトナムにおいて開催された一連の大規模な国際イベントと合わせて、今回の会談は国際課題の解決においてベトナムが主動的かつ積極的な精神にあること、また、ベトナムは地域・国際レベルのイベントの開催に十分な能力及び経験を持ち、それを行う心構えが出来ていることの証となる。これらの取り組みはベトナムが自国の外交政策や経済発展を実施させる際に国際友好国からより多くの信頼を得る展開になる。これは2020年のASEAN議長国を務めるベトナムの成功や国連安全保障理事会の非常任理事国になるための重要な要素の一つになるとみられる。

ベトナムは経済・社会発展の成果や政治・安全保障の環境の安定、国際社会に広範で責任を持って参加することなどを通して、特長を示し、今後も引き続き、観光客にとっては魅力的であり、投資家にとっては信頼され、各国の指導者や国際組織の会合にとっては「理想的に安全がある場所」であり続ける。