韓国企業、ベトナムへの投資加速、日本を抜き2位に

韓国企業がベトナムへの直接投資を加速させている。LGディスプレイはこのほど、ハイフォン市にある工場へ14億ドル(約1590億円)の追加投資を決定した。2021年1~9月期にベトナムに投資した94の国・地域の中で、韓国は日本を抜いて2位となった(1位はシンガポール)。

◇9カ月で39億ドル投資
計画投資省傘下の外国投資庁によると、今年1月からの9か月間で、韓国企業はベトナムに39億ドル(約4420億円)の投資を行い、前年同期比で23.4%増加した。この期間にベトナムに行われたFDIのうち、韓国の投資は17.7%を占めた。

LGディスプレイは8月30日、ハイフォン市の工場に14億ドルの追加投資を行ったが、これは今年2回目の投資であり、2月には7億5000万ドル(約850億円)の投資を実施していた。これにより、LGグループの2021年の投資額は21億5000万ドル(約2440億円)となった。

外国投資庁によると、他の海外投資家と比較して、韓国企業は新規プロジェクトへの投資だけでなく、既存事業の拡大にも関心を示している。このことから、韓国の投資家は、新型コロナウイルスの影響下においてもベトナムの投資環境を信頼していることがうかがえる。

最近開催された「新型コロナとFDI:影響と展望」をテーマにしたセミナーで、サムスン・ベトナムのチェ・ジュホ社長は、「サムスンは2008年にベトナムへの投資を開始したが、今ではバクニン省とタイグエン省、ホーチミン市に6つの工場、ハノイ市にはR&Dセンター、販売・マーケティングを担当する法人を持つに至った。これまでのベトナムへの投資額は177億ドル(約2兆円)に上る」と述べている。

◇ハイテク分野への投資歓迎
総額2億2000万ドル(約250億円)を投じた、サムスンのハノイのR&Dセンターは、建設工事の50%が完了し、2022年後半に完成予定だ。このセンターでは、AIや5G、ビッグデータ、IoT分野の研究が行われる。長期的には、ベトナムの情報技術力の向上とともに、第4次産業革命におけるベトナムの競争力強化に貢献するものと期待されている。

ジュホ社長は、ベトナムの投資環境のポジティブな分析として、「今年4月後半に新型コロナの第4波が襲ったにもかかわらず、サムスン・ベトナムは今年上半期の輸出目標を達成した」と述べ、「ホーチミン市の家電工場の稼働がすみやかに再開すれば、年間の輸出目標も達成するだろう」と予測した。

在ベトナム韓国商工会議所のホン・スン副会頭は、「多くの韓国企業が、ベトナムの投資環境に前向きな見通しを示しており、今後もベトナムへの投資を継続し、数十億ドル規模のプロジェクトを検討する意向を見せている」と述べた。

また、外国投資庁のド・ニャット・ホアン長官も、「私たちは、韓国のプロジェクト、とりわけハイテク技術分野への投資を歓迎している。両国が2015年に締結した自由貿易協定では、法的に禁止されていないすべての分野で、韓国の投資が認められており、今後、韓国からさらに多くのFDIを誘致したいと考えている」と期待感を示した。

豊富な労働力、政治的安定性、社会保障、優遇政策の面で、ベトナムは海外の投資家にとって、とりわけ韓国の投資家にとって魅力ある投資先であり続けるだろう。