蒸しパンのようなケーキ アンザン省のバインボー

ヤシからとれる砂糖を使ったお菓子、バインボー(Banh Bo)は、南部沿岸部に位置するアンザン省チャウドックの名物として有名な一品だ。ふわふわとした蒸しパンのような食感とココナッツミルクを使ったコクのある味わいが自慢。当地を訪れたらぜひ試したい一品だ。

写真㊤=バインボー、見た目もカラフルでテトやお祝いの席に欠かせない

ムバラク・イスラミック・モスクやサム山のケーブルカーといった観光地で知られる同省。そんな名所とともに観光客に人気の高いご当地グルメがバインボーだ。

バインボーはもち米とヤシ糖、水、イーストから作る甘いスポンジケーキ。その形が牛の乳房に似ていることから別名、カウケーキとも呼ばれる。発祥は中国南部とされるが、ココナッツミルクを入れるなどベトナム独自の点も多い。形や材料、焼くか蒸すか、などさまざまなバリエーションがある。


蒸しパンのような食感のバインボー

地元の料理家、ユン・チ・リーさん(70)は、「テト(旧正月)のお祝いやパーティーに欠かせない料理。栄養満点で食べ応えもあるので朝食におやつはもちろん、豚肉を添えればディナーにもなります。冷やしておけば3~4日間は保存できるので、お土産にもぴったり」と話す。


パルミラヤシからとれるヤシ糖も、バインボー作りの決め手の一つだ

上手に作るには、いくつかの注意点がある。もち米の粉と水などを混ぜた生地を1日寝かせ、発酵させてから角型か丸形に切り分ける。3センチの厚さにして整えたら20分間蒸して、ココナッツジュースをかける。バナナの葉にくるむこともある。「コツは米粉と水の割合。もち米とココナッツジュースの組み合わせが、バターのような濃厚な味わいを生みます」(ユンさん)。


バインボー作り体験ができる店も、観光客に人気を呼んでいる

観光で訪れたハノイのルオン・ゴック・ビンさんは「軽くてやわらかく、一度食べたら忘れられない味」と話していた。地域にはバインボー作り体験のできる店もあり、観光客に人気を呼んでいる。