コメの備蓄開始、輸出を制限へ 新型コロナ対策で

グエン・スアン・フック首相は28日、ベトナム商工省に対し、コメの新規輸出を制限するよう命じた。世界的な新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、食料の供給が混乱すると予測し、社会の不安払しょくのために、国内の食料在庫の確保をねらった。当面は、計27万トンのコメを備蓄する。

今月18日に開かれた会議で、議長を務めたフック首相は、「いかなる状況下においても、国民の食糧確保は必ず保障されなければならない」と強調。農業農村開発省、財務省などとも協議し、新型コロナウイルスの感染拡大と南部を中心とした気候変動の影響を踏まえて、国内の十分なコメの備蓄確保を求めていた。

ベトナム商工省は関連機関、地方自治体などのほか、コメの輸出企業などが連携し、食品の安定供給と輸出、備蓄のバランスを検討したうえで、備蓄を決定した。

ベトナムにとっての重要な主食であるコメだが、一方でベトナムはインド、タイに続く世界第3位のコメ輸出国でもある。これまではコメがベトナムの農産物のなかでも外貨の稼ぎ頭で、昨年のコメ輸出量は637万トン、輸出総額は28億1000万ドンにのぼった。

農業農村開発省の報告によれば、今年1、2月の米輸出は89万5000トン(約4億1000万ドル)で、昨年同期と比べ金額ベースで32.6%増、量で27%増となっていた。