クイニョン港、貨物取扱量が増大 戦略的重要性高まる

ベトナム中部の主要港であるクイニョン港(ビンディン省)を管理運営するクイニョン港株式会社は、新型コロナウイルスの感染拡大にもかかわらず昨年、年度目標を1カ月前倒しの11月には達成し、45年の歴史で最高額の売上を記録した。埠頭の改良や情報通信技術の応用が収益の成長につながった。同社はいまや、ベトナム海事公社(VIMC)グループの戦略的旗艦企業に成長している。

昨年の新型コロナ第4波では、職員らの移動によって感染が拡大することを懸念し、職員らが職場で働き、食事し、寝泊りするという「3種の現場主義」モデルの適用に踏み切った。これによって港は安定した運用が維持でき、営業が停滞しなかったおかげで、港の経済指標は昨年も右肩上がりとなった。昨年1年間の貨物取扱量は過去最大の1150万トンに達し、総売上高は13兆ドン、利益は4000億ドンになるとみられている。

クイニョン港株式会社は、1976年の運輸省の決定に伴って、ベトナム中部沿岸地方のビンディン省に設立された。1年を通じて船の接岸や荷の積み下ろしに適したクイニョン湾は、中部だけでなく中部高原地方、さらにはメコン地域の内陸諸国にとっての海洋交通のハブ港であり、東シナ海への玄関口となっている。2010年にクイニョン港で処理された貨物は、当初計画の約2倍の450万トンに達し、2015年にはそれがさらに750万トンにまで増えた。

同港は昨年から再開発計画を実施しており、2025年の完成時にはクイニョン港が現在の3倍の約90ヘクタールに拡大する。すでに工事が始まっている第1埠頭の改良は、長さが35メートル延伸されて全長480メートルとなり、貨物を満載した載貨重量トン(DWT)3万トン級の貨物船やコンテナ船を、2隻同時に処理することができるようになる。計画後期ではさらに大きな載貨重量5万トンの貨物船も停泊できるようになる設計だ。第一埠頭の改善により、港の貨物取り扱い能力は年間約800万トンから1500万トンにまで増大し、社会経済が発展する地域の貨物輸送需要を満たし、港湾の経済効率を大きく向上させることができるという。

◇サービス内容も改善
2021年は、クイニョン港株式会社にとって、投資の面でも、管理運営への情報技術の応用といった面でも、大きな転換期となった。サービスの品質と顧客経験の向上を目指す「港湾技術エコシステム」の形成が進められており、現在では投資もすべて終了。料金の自動徴収システムのほか、人事や賃金を管理するアプリケーションの応用、港やその周辺で多様な貨物の移動と保管管理を制御する「ターミナルオペレーティングシステム(TOS)」のソフトウェア導入などが実現した。

TOSは電子配送システムなどとともに昨年、運用が開始されたが、コロナ禍にあってウイルスの感染予防や管理にも大いに役立った。クイニョン港株式会社のレ・ズイ・ズオン副社長によると、港では今年前半にも、企業間の受発注取引などをすべてデータ上で行う「電子データ交換(EDI)」と、既存の電子決済手法を使ったオンライン決済の運用が始まる予定だという。

これが実現すれば、顧客は24時間体制で貨物の状態について知ることができ、信頼性が増すだけでなく、港湾利用に際しての貨物管理コストも節減される。サービス品質と顧客体験も向上し、支払いの完全電子化などで、これまで複雑だった貨物輸送のさまざまなプロセスも簡素化されると期待されている。