協働ロボット デンマーク企業が進出

人と一緒に作業を行える協働ロボット(コボット)のリーディングカンパニーで、デンマークに拠点を置くユニバーサル・ロボット(UR)が、製造業の盛んなベトナムへの売り込みに力を入れている。労働者不足の解消や生産性向上が導入のメリットという。

コボットは、小型軽量で人と同じ空間で作業を行える産業用のロボット。従来の産業用ロボットは安全面の問題から、人と隔離して使用する必要があった。

世界的な市場調査・コンサルティング会社、マーケッツ・アンド・マーケッツの2026年世界予測によると、コボットの市場規模は2026年までに79億7200万㌦(約約8兆6800億円)に成長。CAGR(年平均成長率)は41.8%と試算されている。特に自動車や電子部品など製造業が多いアジア太平洋地域の市場は、欧州市場より規模が大きくなるとみられる。

ベトナムでは2020年、製造業がGDPの 16.69%を占めるなど経済の中心的役割を担ってきた。 また、繰り返しの多い作業内容や職場環境、スペース的にも24時間稼働するコボット導入のメリットが大きいとされる。

URのコボットは単純作業から複雑な作業までこなす。同社のジェームズ・マキュー・アジア太平洋地域ディレクターは、「『コボット』という言葉が生まれて以来、われわれはトップランナーとして走り続けてきた。南アジアへも進出して10年になる」と実績を強調。「手ごろで軽量、汎用性の高いコボットは、製造業の収益力をすぐにでも改善することができる」と訴える。

同社のコボットは日本にも進出。ベアリングの切削加工や組み立て、梱包、検査などのファクトリー・オートメーション(FA)の設計製作を行うヨコタコーポレーション(徳島県吉野川市)は、労働力不足を解消するためにコボットのUR5を導入した。従来の産業ロボットも検討されたが、スペースや安全問題で実現が難しいことがわかったため、コボットを選択した。その結果、同社では20%の生産性を向上させることができたという。

マキュー・ディレクターは「コストなどからロボットの導入が無理だと持っている事業者に対し、オートメーション化のハードルを下げ、生産性の向上に向けた手助けをしていきたい」と話している。