進出希望の日経企業と対話会を実施 ベトナム首相府と日本大使館

ベトナムへの進出などを検討している企業を対象に、進出にあたっての疑問をくみ上げ、課題の解決などを話し合う「ベトナムに進出する日系企業との対話会」が今月21日、ハノイ市で開かれた。ベトナム側はマイ・ティエン・ズン官房長官らが出席し、新たに導入された政策などを説明し、日本企業の進出を促した。

今回の対話会は、ベトナム首相府と、グエン・スアン・フック首相の行政手続改革諮問委員会、在ベトナム日本大使館が共催した。諮問委員会が国内外の企業らを対象に行った対話は今回5回目で、日本企業を対象としたものは今年初めてとなった。

会合には、日系企業40社の代表のほか、ベトナムの各省庁や関係機関の代表者らが参加した。日系企業の代表らはベトナム政府に対し、行政手続きの簡素化や、輸出活動への優遇措置などを求めた。

これに対し、同諮問委員会会長を兼務するマイ・ティエン・ズン政府官房長官は、対話会で、オンラインで行政手続の実施に関する首相令が発令されたほか、政府がベトナムにおける事業操業の条件など239件の措置で簡略化を行ったと説明した。また、省庁や地方自治体などに対して、グエン・スアン・フック首相が、ベトナム経済の回復と公共投資促進の実現にむけた動きを指示したことなどを、日本側に報告した。今後は、福祉や社会の安全と秩序などを確立しながら、行政組織の作業内容を刷新させていくとの見通しを示した。

ズン官房長官はまた、「抜本的で効果のある新型コロナウイルスの感染対策を各地で一斉に実施したおかげで、ベトナムは新型コロナ後の『ニューノーマル』の生活様式が採用できた。ベトナムでは、生産や企業経営、特に工業生産や輸出入の分野が、明るい兆しを見せている」と説明した。

計画投資省の報告によると、ベトナムは、今年の経済成長率が2.6~3%になると予想している。プラス成長が見込める国は、アジア太平洋地域全体でも数が少なく、東南アジアではベトナムだけとなる。ベトナムは、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大にあっても、成長を実現させた16の国際市場のひとつとなった。

対話会に出席した駐ベトナム日本大使館の山田滝雄大使は、ベトナムの新型コロナ対策の努力と成功を称え、ベトナムと日本両国間の広範にわたる戦略的なパートナーシップを称賛した。

「ベトナムの急速な経済回復のカギは、商業的な航空便の早期再開や、公共投資支出の改善、外国からの投資の誘致や行政改革によるところが大きい」と述べた。
対話の実施は、行政改革を推進させ、ベトナムにおける海外企業のビジネス環境を改善し、今後さらに外国投資の誘致につなげようとするベトナムの意欲の表れだ。

日本側によると、海外投資を検討し、日本外務省などから情報収集などの支援を受けていた日本企業81社のうち、37社がベトナムを投資先として選択したという。また、日本企業55社がベトナムに進出し、拠点を置くことを決めたという。山田大使は「日本は引き続き、ベトナムでの日系企業の支援を展開していきたい」と語った。