ベトナム木材・木材加工業の受注、最大8割減に

新型コロナウイルスの感染拡大によって、ベトナムの木材・木材加工業の受注は、2021年末まで事実上、停止すると予測されている。

ベトナム木材・林産物協会(VIFORES)によると、米国、EU、日本、韓国、中国はベトナム木材・木材加工品の主要な輸入国であり、同産業の輸出額の90%以上を占めるが、いずれもパンデミックの影響を大きく受けている。ベトナムの木材加工会社には、注文のキャンセルや延期の連絡が絶えず続いている。

具体的には、2020年3月以降、対米輸出品の80%がキャンセル、EU向けでは81%が注文をキャンセルした。日本、韓国、中国向けの売上高は60~80%減少した。

これら以外の小規模の輸出を維持するために、企業は、原材料を以前に比べて1立方メートル当たり10~20ドル(約1,060~2,140円)高い価格で購入しなければならない。輸送コストは、1コンテナ当たり500~1000ドル(約53,000~107,000円)高騰し、今後数か月の間でさらに上昇すると予想される。

顧客は、製品試作のためにベトナムの木材企業へ来社していないため、2020~21年期の新規注文にはサインしていない。多くの工場は閉鎖の危機にあり、何十万人もの労働者が職を失う可能性がある。

VIFORESのド・スアン・ラップ会長は、「木材加工は、ベトナム3大輸出産業の1つであるが、4月末現在で生産停止のリスクに直面している。政府の強力な支援がなければ、従業員に賃金を支払えなくなる可能性が高い」と語った。

毎年、数百億ドルの輸出額を上げるこの産業を救うために、ラップ会長は、木材・木材加工業が納める税金や地代の支払い時期を延長し、特定の輸出業者に対する付加価値税(VAT)の還付を検討するよう提案。さらに、EUや米国、カナダ、日本といった良好な森林統治が行われている国・地域から輸入される材木(ひき材)に対し、輸出税の免除を適用するよう求めた。

また、ラップ会長は、VATの減免や支払期限の延長、木材チップ輸出に課される2%の輸出税をゼロにすることも提案した。

ベトナムの木材・木材加工業は、今後3~6カ月間、あるいはそれ以上の期間、困難に直面すると予想される。企業は原材料の仕入れコストなど、生産コストを最小限に抑えようと努力している。