刺繍柄のスカーフ「ピエウ」、タイ族女性の才能や個性を映し出す

色鮮やかな刺繍柄が印象的な「ピエウ」と呼ばれるスカーフは、ベトナムの少数民族タイ族の女性に欠かせない衣装の一つだ。着用する女性の美意識を反映するものであり、タイ族が持つ世界観や人生観を象徴するものでもある。

ピエウは頭に巻いて使用する。シカや蝶、鳥、ゾウやトラ、月、シダの木など、それぞれ異なった刺繍柄が描かれ、こうした絵柄はタイ族が着るスカートの裾にも用いられている。タイ族の女性は、特別なお祭りの時だけでなく、日常からこのピエウを身につけている。

彼女らは15、16歳になるまでに、母親からピエウの身につけ方や刺繍の仕方を学ぶ。

タイ族の少女は結婚するまでに、自分でピエウを作れるようになるが、それはタイ族の婚姻では、新婦が新郎の家で生活する最初の日に、新郎の母にピエウを贈る習慣があるからだ。新婦は自分用にもピエウを作るため、このスカーフは新婦と新郎一家を結び付ける大切なアイテムと言える。

ピエウは、少女の才能や個性を映し出すと言われるため、少年は、彼女らのスカーフの飾りや刺繍をもとに花嫁を選ぶことができる。専門家らは、「葬儀の時に、ピエウを本人とともに埋葬するのは、ピエウが天国で故人の魂を案内する存在であるため」と分析している。