輸出チャンネルの多様化を 新型コロナのリスク回避へ

新型コロナウイルスが感染拡大するなか、輸出産業に大きな影響が出ている。こうしたなか、輸出におけるリスクを回避するため、商社などを介在しない直接輸出から、多様な流通ネットワークを通した間接的な輸出への急速なシフトが求められている。政府は近年、農産品の販売促進をめざし、外資系スーパーマーケットを中心に、生産者と流通ネットワークを結びつけるプログラムやプロジェクトを進めてきた。今後、この動きはさらに加速しそうだ。

写真㊤=日本のイオンで販売されるベトナム製品

2017年、商工省(MoIT)は日本のイオンモールや韓国のロッテ、タイのMMメガマーケットなど海外資本のスーパーと国内の企業や生産者とを結ぶプログラムをスタート。19年には、様々なベトナム製品が、大手グループのサプライチェーンを通した間接貿易で輸出されるようになった。MMメガマーケットは、自社の流通システムによって1000トン以上のベトナムの農産物を輸出。また、国内小売最大手、サイゴンコープはシンガポールのNTUC フェアプライスと連携して、200以上のコンテナを毎年シンガポールに輸出している。乳製品大手のビナミルクも、シンガポールへのオーガニックな乳製品の輸出で成功しており、中国や日本、韓国、欧州諸国など他の国々への輸出促進にも力を入れている。

しかし、こうした流通システムのメリットがわかっても、すべての企業がすぐに参入できるわけではない。スケールメリットをいかした大規模で余裕ある生産能力や豊富な輸出実績などが揃っていなければ、参入は難しい。新たな流通システムに参入するには、製品の品質や包装、表示において諸外国の消費者の求める厳格な規制に従わなければならない。

実績のない中小企業では、知識不足などから、さまざまな難問に直面することになるだろう。MoITでは、企業のリスクを最小限にとどめながら、ベトナム製品を輸出する多様な流通チャンネルを確立すべく、柔軟な基準の導入などとともに流通業者との協力を進めている。また、他の省庁と連携して、グローバルサプライチェーンにおいて持続的に参加して事業展開できるよう、製品のトレーサビリティーについての調査と監督に力を入れる。