持続可能な社会へ、環境負荷の低い建材の使用を

ベトナムでは建設ブームが席巻しているが、持続可能な社会を築くためには、環境負荷の低い建築材料を使っていくことが重要だ。

ハノイで開催された建築材料をテーマにした国際会議で、ベトナム不動産協会のグエン・チャン・ナム会長は、「ベトナムの人口は毎年約100万人ずつ増加しており、都市化が加速するにしたがって、人々は家を持つようになる。また、観光業の急速な発展は、宿泊施設やリゾート施設、関連施設の開発を生み出す」と語り、引き続き建設ブームは続くとの見方を示した。

写真㊤=世界的に環境にやさしい建築材料を使用する動きが出てきている

だが、その一方で、ベトナム建築材料研究所のレ・チューン・タン所長(博士)は、建築材料の環境負荷に触れ、「天然鉱物資源の使用を最小限に抑え、副産物を活用して省エネ、環境保護を実践するには、科学技術の応用が不可欠。とりわけ、ベトナムは世界最大の建材生産国の1つであり、より一層の進歩が求められる」と提言した。

例えば、標準的なプロセスで10億個の焼成レンガを作る場合、150万立方メートルの粘土と15万トンの石炭が必要であり、製造工程ではおよそ57万トンのCO2を排出する。レンガの消費は増加しており、2020年までに420億個のレンガが使用されると予測される。この場合、約6000万立方メートルの粘土、560万トンの石炭が必要で、約1700万トンのCO2が環境中に排出される。

こうした課題を解決できる可能性があるのが、燃焼工程のないいわゆる「無燃焼レンガ」だ。例えば、軽量気泡コンクリートブロックは焼成レンガより30~50%軽量で、従来のコンクリートブロックの重さの25%程度。遮音性や断熱性も良く、使用することでエアコンの電力量を最大40%削減できる。そのほか、環境にやさしく人々の健康を守る建築材料にも注目が集まっている。

これらの環境負荷の低い建材は、昨年末に、ハノイで開催された建設関連の展示会「ベトビルド2019」に出品された。ベトビルドには、国内外の企業が1600のブースを出展。住宅や建設、装飾への需要の高まりを受けて、環境に配慮した建材や内外装材など様々な関連製品が並んだ。