進むハノイのハイテク農業 機器貸与など市が支援

ハノイ市で農業のハイテク化が進んでいる。市内の多くの農業協同組合が、農薬や肥料散布、田植えにドローンをはじめとする無人機を使用。フースエン県やチュオンミー県では、農業農村開発省傘下の市農業拡張センターのもと、スマート農業のモデル事業が進められ、コスト削減や収益の向上につながっている。

同センターでは、最新機器の貸与を通して、協同組合のハイテク技術導入を支援。現場では、種まきや肥料散布用のドローン機や天候のモニタリング設備が導入され、害虫や作物の病気管理や、土壌や水分の維持管理に役立っている=写真(市農業拡張センター提供)。

フースエン県で農業生産チームを率いるグエン・ヴァン・タさんは、「ハイテク化を進めれば、農家は農地をチェックして、収穫期にコメを持って帰ればいいだけになる。その間、他の生産的なこともできるようになり、収入が改善されるだろう」と歓迎する。

チュエンミ村の農家、ズオン・ディン・ジョットさんは「ドローンによる害虫や病気の管理、天気の予測が、収益向上につながることがわかった。ハイテク技術の導入がさらに広がることを期待している」と話す。

灌漑から水やり、害虫や病気の管理、休みなく続く田植えから収穫まで。農家の仕事をすべてカバーするにはさまざまなハイテク技術が必要だ。フーシュエン農業協同組合のバ・バ・ディン・ディレクターは「ハイテクを使いこなすには、まず機器を購入する資本、そして一人一人の農家の質を向上させるトレーニングが必要だ」と指摘する。

市農業拡張センターのブ・チ・フオン・ディレクターは、「ハイテクを導入するなら、まず農家から始めること。デジタル技術は、それぞれの農家の置かれている状況や環境と深くつながらなければならない」と訴える。市農業農村振興局のグエン・マン・フォン副ディレクターは「ハノイは広大な農地を有しているが、サービス業などへの労働者のシフトのため、人材が不足している。休耕地も増えている。こうした課題を解決するには、ハイテク化の推進は欠かせない」と話している。