独特の景観誇るアムティエン寺と洞窟 国内外から観光客誘致

ベトナムで稲の花が咲く3月、紅河デルタ地方にあるニンビン省の古都、ホアルーは、国内外からおとずれた多くの観光客を魅了した。ここは、チャンアン名勝遺跡群(ユネスコの世界複合遺産)が有名だが、独特の風景をもつアムティン寺と洞窟も新たな観光スポットとして、最近注目を集めている。

ニンビン省チャンアン遺跡群は、2014年にはユネスコの世界複合遺産として登録。アムティエン寺と洞窟は、1998年にベトナムの国家文化歴史遺跡に認定された。これらの遺跡が近年改修され、魅力的な観光地になりつつあるのだ。

ニンビン省の中心部からチャンアン名勝遺跡群へは、緑に囲まれた道路で向かう。険しい岩山に抱かれたズエンニン寺を通りすぎると、「北部の楽園」と称される、独特の景観のアムティン寺にたどり着く。

アムティン寺と洞窟は、古都ホアルー郊外のチョンイエン区からイエンハー村にまたがるグーフォンソン山脈のマーイエン山中腹に位置する。この山脈は、レ・ダイ・ハイン王、ディン・ティエン・ホアン王を祀る五山の頂がある。さらに、山の中腹にあるアムティン寺の洞窟にたどり着くには、金魚が泳ぐ青い透明水の湖を渡って、200段もの石段を登らねばならない。

ディン王時代の書物によると、ここはかつて石の牢獄とされ、罪人や邪悪な虎を閉じ込めたと伝わっている。また、リー王時代には、グエン・ミン・コンという名の禅師がここに来て、人々の安全な暮らしのために祈りの呪文を唱え、アムティエン洞窟と名づけられたという。

アムティエン寺から見下ろすと、眼下には遠くまで広がる空間と雄大な景色、険しい山々と見える青い湖が眺められる。この美しい景観は観光地としてのポテンシャルを秘めており、観光地としての価値を認めたニンビン省が、景観の保全と寺や洞窟で働く人材の育成などへの投資を増やした。このおかげで、国内外から訪問する観光客が増えているようだ。

ニンビン省は、アムティエン寺と洞窟の観光を発展する促進させるために、2025年までの観光発展計画を立てており、2030年までには全国的にも重要な観光地になることを目指している。具体的には、2020年までに100万人の外国人観光客と国内からの観光客700万人の誘致を目指す。

2025年にはその数を海外観光客150万人、国内観光客900万人に増やし、さらに2030年には外国人観光客210万人、国内の観光客を1120万人まで増やすとしている。観光事業からの売上げは、2020年に4兆2000億ドン、2025年には11兆8000億ドン、2030年には27兆ドンに達する見込みだという。