北部特産ローズアップルのシーズン到来

ローズアップル(日本名:フトモモ)の一種である「メオアップル」はベトナム北西部のラオカイ、ソンラ、ハザン、イエンバイなどの省(県)の特産品として知られる。中でもイエンバイ省産のものは個性豊かな味わいで有名だ。収穫を終えた今、地元の市場はメオアップルの果実や加工品を求める人らでにぎわっている。

イエンバイ省のメオアップルの木は、寒冷なバンチャン、トランタウなどの高地地方で生育する。3~4月の晩春に白い花をつけ、9~10月に収穫期を迎える。この時期、地元の市場、中でもイエンバイ駅市場は、新鮮なメオアップルであふれかえる。

メオアップルは、不思議なことに、虫がついたものでないとおいしくない。このため、食通たちは、大きくて立派な実ではなく、小さな虫のついた実を選ぶ。というのも、その方が香りがよくて、甘く熟しているからだ。

メオアップルには2種類ある。市場で私たちが見るのは森のリンゴと呼ばれる種類のもので、実は小さいが、薄ピンクと黄色に熟すと甘く、サクサクとした歯ごたえと魅惑的な香りが特徴だ。

メオアップルは、シロップやジャム、塩漬けなどさまざまな製品に加工され、収穫期だけでなく1年を通じて味わうことができる。砂糖漬けのメオアップルからは、ハチミツのような黄金色の、酸っぱくて、かぐわしいにおいのシロップができる。塩漬けは、砂糖とともに調理するなどした後に乾燥させる。もし、スパイシーなメオアップルがお好みなら、ショウガやチリを使って調理するのがおすすめだ。スパイシーでより深い味わいが堪能できるはずだ。

古来、伝わる医療において、メオアップルには鎮静効果があるとされてきた。また、体のバランスを整えたり、高血圧に由来する諸症状を予防したり、肝臓にもよいとされるほか、ダイエット食としても利用されてきた。

また、ワインをはじめとするお酒も大量につくられ、多くの人に愛飲されている。メオアップルからできるお酒は、旅行者に人気の高い高地地方の特産品だ。村人によってつくられたワインや、道端のお店でチリと塩で調理されたリンゴの一切れは、イエンバイ省の旅のいい思い出になるにちがいない。