実りの季節 ベトナム北西部のおいしい料理

ベトナムの北西部は、山間部が多く、少数民族が多く暮らすことから特徴的な郷土料理が多い。伝統的な調理方法で作る燻製肉や、火を囲んで食べる新鮮な川魚や串漁師などのおいしい食を抜きに、この地域の魅力は語れない。稲が実る季節にぴったりの料理の料理を、いくつか紹介する。

◇水牛肉の燻製
テイット・チャウ・ガック・ベップ(水牛肉の燻製)は、ディエンビエン省の名物。もとは少数民族、タイ族の食べ物だ。


燻製された水牛肉は、自然の肉の色を保ち、甘さや風味が増す

お正月など祭事の時期まで、水牛肉を長期保存するために生まれた生活の知恵だ。肉を調味料に漬けたあと、少数民族の住まいに特有の直火の調理場に吊っておく。森林の葉を燃やした煙でいぶされ、より風味が増す。乾燥チリやコショウ、塩、ハーブ類などをつけて吊るされるうちに、肉は次第に熟成し、おいしい水牛肉の燻製が完成する。

◇ムオン・タン地区の鶏肉おこわ

同じディエンビエン省の名物のこの料理は、北西部地域の特産として有名なもち米で作られたおこわ。中には鶏肉が隠れている。

もち米をより柔らかくするために、二度蒸すのが作り方の秘訣だという。最後に表面を油で揚げ焼きにしてパリッとさせる。ニワトリは自然の中で放し飼いにしていたもので、肉がとても美味しい。

◇ホアビン省 ダー川の焼き魚
ダー川は、美味しくて魚がたくさん取れることで有名だ。ベトナムではテイウやマンとよばれる魚や、デエンチヤム(黒鯉)、魚等。など、ここに来たら、焼き魚を食べないと、本当に残念。ここの焼き魚はとても自然に香ばしくて、甘い。

取れたばかりの魚を裂いた竹に挟み、木炭の火の上で焼く。焼く前に、塩を振り、バナナの葉で巻いておくのも大切な料理の手順だ。自然な魚の香りとバナナの葉、森林からとってきた竹の香りがほんのり移り、特徴的な味や香りを生んで、おいしさが増す。

◇ラオカイ省のサパの焼き物(串焼き)
少数民族が多数住むことで知られ観光地としても人気のサパは、きれいな景色のほか、美味しくて豊富な食でも知られている。数ある料理の中でも、忘れがたいのが串焼きだ=TOP写真

肉や野菜などの具材を串で刺して、木炭で焼く。火を囲んで座り、焼きながら食べるのも旅のだいご味だ。ここは高地で朝晩は冷えるため、合理的でもある。

◇ライチャウ省のロン・カップ・ナック豚肉(子豚の焼き豚)

ライチャウ省のロン・カップ・ナックという料理をご紹介しよう。この地方では、ロン・ルンという名前でも呼ばれる子豚の焼き豚だ。このように竹にまきつけて焼く。この料理以外にも、豚肉は蒸したり、炒めたり、煮たりと様々な調理法で、この地方ではごちそうとして食べられる食材だ。

通常よく目にするベトナム料理とは一風違った北西部の郷土料理。旅の楽しみのひとつに加えてほしい。