観光客増加へ向けて、トラベル・ツーリズムサミットで課題議論=第1回、ハノイで開催

専門家らがベトナムの観光産業をめぐるさまざまな課題を議論する「第1回トラベル・ツーリズムサミット」がこのほど、ハノイ市で開かれた。

このイベントには、世界の主要なグループのCEOや国内外の観光産業の専門家、およそ1,000の企業を含む約1,500人が参加。最初のセッションでは、文化・スポーツ・観光省のレ・クァン・トゥン副大臣が、「ベトナムの観光業界を再構築する必要がある」と強調した。

写真㊤=初めて開催されたトラベル・ツーリズムサミット(Vietnam Investment Review)

トゥン副大臣によると、1990年の外国人観光客は25万人にすぎなかったが、2017年には約1,300万人が訪れ、国内からの観光客も7,300万人に上った。1990年から2017年の間に、外国人観光客は52倍に、国内の観光客は72倍にまで増加した。

しかし一方で、「世界競争力報告」(The Global Competitiveness Report)によると、ベトナムは136の経済圏で67位であり、東南アジアでも5位にとどまった。

トゥン副大臣は、ベトナムの観光業に足りないものとして、脆弱なインフラ、人的資源の不足、観光地の管理能力の低さ、環境保護に則った観光開発などを挙げ、「観光部門の再構築は不可欠だ」と述べた。

また、トゥン副大臣は、グエン・スアン・フック首相が、潜在的な市場や人材育成に焦点を当てて、観光部門を再構築するプロジェクトを承認したばかりであると明かした。プロジェクトは2025年までに、観光部門の収入を昨年の2倍以上である450億ドル(約5兆円)に引き上げ、GDPの10%を占めるとともに、600万人の雇用創出を目指すという。

コンサルティングファームのグラントソントンベトナムの代表、ケネス・アトキンソン氏は、「ベトナムの観光産業には大きな潜在力があり、大都市には多くの高級ホテルもある」と指摘。例えば、タイでは、毎年の観光客が3,000万人に達するまでに20年を要した。アトキンソン氏は「2017年のベトナムの観光客数は1,260万人であったが、今は1,600万人に増える見込みであり、これは良い傾向だ」と述べた。

さらに、「観光インフラが適切に投資されれば、ベトナムにはさらなるチャンスが生まれる。7年ほどでタイの現在の観光客数に追いつくのではないか」と述べた上で、「ベトナムは、観光資源を多様化し、量より質を重視し、環境を守り景観を損なわないようにすべきだ」とも語った。

また、BCGシンガポールのオリヴィエ・ミュールスタインCEOは、「ベトナムはターゲットとなる市場を決め、団体旅行客を誘致するトレードマークを打ち立てて、(ベトナムを再度訪れる)リピーターを作っていくべきだ」と述べた。また、ミュールスタイン氏は、訪問ビザの緩和も重要な要素だと提案した。

このサミットは、ベトナム経済フォーラム2018の一環として開かれ、文化・スポーツ・観光省、Private Economy Development Research Board、National Tourism Advisory Board、VNエクスプレスオンライン新聞の主催で行われた。