第二四半期の雇用、回復傾向に ベトナム統計総局が発表

2020年第2四半期に、過去最大の落ち込みを見せたベトナムの雇用は、第3四半期には増加傾向に転じた。だが、新型コロナウイルスの世界的感染が響き、昨年の水準には戻っていない。回復を維持するために、ベトナム統計総局は「新たな雇用創出の促進策が筆意用」だと指摘した。

ベトナムでは今年4月に外出自粛措置などが取られ、一度は押さえ込みに成功したと思われていた新型コロナウイルス感染が、7月下旬、再燃した。ベトナム統計総局のグエン・ティ・フオン局長によると、このことが就業状況に大きな打撃となり、雇用と人々の収入の回復に影響を与えた。第3四半期の就業や雇用、収入は、第2四半期と比べると改善したが、まだ前年同期の数字を下回っている。15歳以上の就労者は第2四半期と比べると140万人増えて5460万人に達したが、昨年第3四半期よりも110万人少ない数字だという。

新型コロナによって、企業の操業は大きく影響を受けた。そのため、全企業の33.4%が、1~9月の雇用を昨年同期と比べ減らしたといい、その割合は、今年年末には36.4%にまで悪化する見通しだ。

労働者側を見ると今年9月現在、就労している15歳以上のベトナム人のうち、3180万人が新型コロナによって何等かの影響を受けたてとしている。このうち、68.9%が、就労日数の減少や時短勤務、一時解雇などによって収入が減少。特に大きな打撃を受けたのがサービス業で、この分野に従事する全労働者の68.9%が何らかの影響を受けた。これに製造業、建設業が66.4%で続き、農林水産業でも27%の労働者が影響を受けているという。

ただ、国際労働機関(ILO)ベトナム事務所のバレンティーナ・バルッチ副局長は、「ベトナムでは新型コロナの感染拡大前もその後も、失業率が他国と比べて低く抑えられており、現状でも制御されている」と見る。

第3四半期の就業・雇用情勢調査によると、新型コロナの経済への悪影響は依然として続いている状況ではあるものの、回復と発展の兆しが見えるようにもなった。フオン統計総局長は、この傾向を持続し、後押しするためにも、「企業と従業員、双方の課題を取り除き、新たな雇用創出を促すしかけを、政府が考える必要がある」との見解を示した

統計総局によると、ベトナムで年末に向けての感染拡大が抑制でき、企業の生産や企業情勢が順調であれば、労働者の雇用機会がさらに増えると見ている。そうなれば最低失業率は第3四半期の水準にとどまるか、回復する可能性すらある。国会が定めた「失業率を4%以下にとどめる」という目標も、実現の可能性が見えるという。