新型コロナ市中感染拡大 企業など警戒 インドへの支援も

ベトナムでは、新型コロナウイルスの市中感染が再び拡大しているのに加え、インド型と英国型の両方の特徴を持った新しい変異株も発見され、行政や企業などが警戒を強めている。一方で、貿易などで深い関係をもつインドでの感染拡大を受け、在ベトナム・インド商工会議所が酸素ボンベを送るなど、海外向け支援も行われている。

4月末からの新型コロナ感染の第4波以降、ペトロベトナム傘下のPVガス社は、職員らの安全と国内のガス供給の安定を確保し、地域の健康を維持するために、新型コロナ制御策を強化している。自社の2021年事業計画の進展を停滞なく進めるねらいもあり、関連施設や事業所のほか、理事会などが入居するPVガスタワーなどでも予防策を徹底している。

感染者が多いハナム省やハノイ市、タイビン省、イエンバイ省、ビンフック省、ダナン市周辺を4月25日以降に訪れた職員には、健康チェックの提出と訪問場所の申告が求められ、保健省と同社が推奨する自主隔離などの感染拡大予防措置を取らせている。また健康チェックは、全職員に課し、症状や体調に異変がある場合はすぐに地域当局に申告する。感染者が多く発生している地域での業務や、それらの地域を訪問した他地域の職員には、リモートワークを推奨している。

不特定多数が出入りする受付や会議室、トイレや階段、エレベーターなどの施設は、定期的に消毒を実施。職員に加え、同社を訪れた訪問客にもマスク着用や手洗いの励行を促し、体温測定や健康状態の報告を義務付けている。また、不必要なイベントや会議などは延期し、延期できないものについては参加人数を大幅に減らし、ソーシャルディスタンスの維持や消毒などを参加者に厳しく求める。

PVガスは過去のコロナ感染拡大期にも、迅速で的確な情報発信と効果的な感染予防対策の実施、また従業員らの規律などが賞賛された。

◇インド支援も

一方で、ベトナムとビジネス上での関係が深まっているインド向けの支援も始まった。在ベトナム・インド商工会議所のマノージ・バートワル会頭は、インドに520本数のガスボンベを送った。バートワル会頭は、「新型コロナに苦しむインド人同胞に向けた、友情の行動だ」と話した。

ほかにも、ベトナム仏教僧ら有志が酸素濃縮装置などを贈呈。さまざまな団体や企業によるインド支援が展開されている。集まった酸素濃縮装置や酸素ボンベなどの支援物資は、ホーチミン市に停泊していたインド海軍の船舶に、先月24日、積み込まれた。物資は10日ほどでインドに到着する予定だという。