太陽光発電パネルの効果的なリサイクルを検討

世界的な再生可能エネルギー活用へのシフトとともに太陽光発電が発展し、今後ベトナムでも、太陽光発電施設と使用期限に達したソーラーパネルの急増が見込まれる。しかし、現代の科学技術の進歩によって、いまや太陽光発電パネルの97%がリサイクル可能となり、多くの企業にとって再利用できる有益な原材料として注目されつつある。

◇再利用の促進へ
今年4月、ハノイ市で行われた太陽電池リサイクルに関するセミナーで、ベトナム商工省傘下の工業政策戦略研究所、グエン・バン・ホイ所長は、「パワー・プランVIII(第8次国家電力マスタープラン)」の草案を下敷きに、ベトナムの太陽光発電容量が2030年までに18.89ギガワットに達する見込みであり、2045年には53ギガワットを目指すとされていることを紹介した。この計算で行くと、不要になる太陽光発電パネルは、2035年までに40万4000トンになる見込みで、2045年には、1900万トンに膨らむことになる。

今後数十年間は、ベトナムだけでなく世界的にも太陽光発電が急速に拡大すると見込まれており、耐用年数を過ぎたり、破損したりした太陽光発電パネルは、膨大なものとなるだろう。しかし、現在のパネルの材料のほとんどは、毒性のないもので作られており、適切な処理や最新のリサイクル技術を応用すれば、太陽光発電パネルは、かつて懸念されていたような、環境に悪影響を及ぼす廃材ではなくなるという。

多くの国では、すでに太陽光発電パネルの処理やリサイクル活用について法的に定めている。例えば、韓国では、国内製造業者やパネルの輸入業者らに対し、1キロ当たり04ドルリサイクル費用の負担を求めているという。一方、スイスは、不要となった太陽光発電パネルや部品類も再利用するなど有効活用し、破損などでそのままリサイクル利用ができない場合は、電気自動車などのバッテリー原材料とされていている。

ベトナムおいては、このような動きがまだ進んでおらず、ベトナム経済貿易諮問協会のダオ・チャン・ニャン氏が、政府に対し、「将来を見据え、ソーラーパネルが稼働していない期間の保管や使用後のリサイクルなどを今のうちに法的に規制し、当事者間の責任を明確にする必要がある」と提言している。技術的な解決策としては、さまざまな蓄電池ごとの基準設定の必要性を指摘するほか、太陽電池の品質管理のための規制を設け、具体的なメカニズムを構築してリサイクルを奨励する必要があるなどとした。また、規制に違反するものに対しての罰則の必要性も挙げている。

ベトナム工業政策戦略研究所のレ・ヒュイ・コイ博士も、耐用年数が過ぎた電池類の回収や処理をめぐり、監視監督を強化することをはじめ、いくつかの解決策を提案。関連企業やサービス提供者らに対して、環境保護責任があることを周知徹底し、ベトナムにおける太陽光発電パネルのリサイクル施設整備に対する投資を促すことを求めた。コイ博士はさらに、「経済的にも、政治的にも、企業を支援する具体策が必要だ」として、効率的な太陽電池の利用、回収、再利用方法について積極的に情報発信すべきだと提案した。

◇原材料としての期待
ハノイ科学技術大学の研究によると、耐用年数を迎えた太陽光発電パネルの99%は、原材料の一部の入れ替えなどの適切なリサイクル処理をすれば再利用が可能で、新品の97%にまで、発電能力を回復させることが可能だという。現代技術をもってすれば、廃棄するパネルなどによる環境汚染は大きな課題ではなくなったというわけだ。

太陽光発電パネルの主要原材料はガラス、アルミニウム、シリコンと接着剤であることから、ベトナム水と環境保全協会のグエン・クアン・フアン副会長も、「これらの物質は97%まで再活用ができる」としている。その再加工の工程もゴミを発生させたり、環境汚染を引き起こしたりするようなものではなく、「むしろ天然資源やエネルギー使用の節約につながる」と説明する。

一般的に、太陽光発電パネルの寿命は15~20年とされている。ベトナムにおける太陽光発電プロジェクトのほとんどは、この2、3年に始まったものばかりで、これらが耐用年数を迎えるまでには、今後も科学技術が進展すると期待される。専門家らは、将来的には、使用済みの太陽光発電パネルが高価なリサイクル原料となると口をそろえ、いずれは原材料を必要とする工場などが、太陽光発電施設などから古いパネルを買い戻すような動きが生まれるだろうと予測している。