フエで二階建てバス導入へ、観光客増に期待、一方で課題も

観光客は二階建てバスで、フエの観光を楽しめるようになる。

写真㊤=シクロに加えて、フエで二階建てバスが導入される。(写真、ホアン・ハイ)

魅力的な乗り物
二階建てバス(「ホップオン・ホップオフ」と呼ばれることもある)での都市観光は大変魅力的で、世界中の多くの国で導入されている。ベトナムでは、2015年に初めてホーチミンで二階建てバスが使用された。瞬く間に二階建てバスは多くの観光客を惹きつけ、市内観光ツアーに欠かせない存在となった。2017年にはダナンで導入され、現在ではホイアンでも使用されている。観光客からの要望に応え、2018年5月末からはハノイでも二階建てバスのサービスが運用され始めた。

フエでは、ハノイ旅行株式会社が二階建てバスでの市内観光サービスに向けた投資を始めた。ハノイ旅行社フエ支局の社長であるズオン・ティ・コン・リー氏はこう話す。「サービスを開始するための基本的な手続きは完了しています。二階建てバスは新しい交通手段であるため、現在は交通運輸省の指導を待っている状態です。二階建てバスには無料Wi-FiやUSBポート、監視カメラなどの最新設備が搭載される予定です」。

観光促進情報センター社長のチュオン・タイン・ミン氏は、3メートルもの高さのある二階建てバスは、観光客にとって最も便利な手段だと強調する。シクロ、自転車、バイクなどでのフエ観光も可能だが、二階建てバスだと都市への印象ががらりと変わる。世界中の有名な観光地では、たくさんの観光客が二階建てバスでの観光を楽しんでいることから、フエでも多くの観光客を惹きつけ、フエ観光の新たな魅力となることが期待される。

「ホップオン・ホップオフ」のバスツアーを利用する際には、一度チケットを買うだけで全てのバスの利用が可能になる。好きな地点で乗り降りができ、好きなだけ観光を楽しむことが出来る。導入されるフエでの二階建てバスでは、多言語音声による解説も利用できることが魅力の一つ。ガイドがいなくとも、外国人観光客はフエの文化、人々、歴史に触れることができる。

バスは夜中も運行される予定で、新たなサービスの開拓や夜間の観光客増加などにつながることが期待されている。


二階建てバスでの観光は、フエの新たな魅力となるだろう(写真、グエン・フン)

二階建てバス運用についての課題
フエの新しい魅力としての期待が寄せられる一方、二階建てバス運用に対していくつかの課題も残る。電線が絡み合っている道路や大きな木がある道路などでは、電線や木が二階建てバスに当たる可能性がある。細い道をバスが通る際には、交通渋滞を引き起こす恐れもある。

ズオン・ティ・コン・リー社長は、こうした懸念に対して次のように述べる。「ツアーの企画を行う中で、会社として困難を克服する方法を考えました。まず、ツアーの行程は、多くの観光地があり、さらに移動に便利な主要道路を優先して組まれます。バスでの移動が困難な観光地では、近くにバスを停め、観光客に歩いて観光してもらおうと考えています。もちろん、歩く距離は無理のない範囲です。夜間はツアーの数を減らし、フエの中心地へ向かう主要な路線などを、観光客の要望に応えて増やす方針です」。


ダナンでは観光客が二階建てバスでの観光を楽しむ(写真、グエン・フン)

旅行局の局長は「この二階建てバスのサービスは新しい観光の魅力を生み出すことでしょう。しかし、都市の中心地でバスの駐車が可能かどうかという懸念が残っている。我々は交通運輸省と協力して最善策を見つけていくつもりです」と語った。