工業団地での感染拡大防げ 新型コロナ安全対策チームを結成 ハノイ市

ベトナム各地で新型コロナウイルス感染が増加傾向にあることから、首都ハノイは市を挙げて感染抑制に乗り出している。経済的打撃を抑えるためには工業地帯での大規模感染を防ぐ必要があるため、企業の協力を求めて工業団地や工業クラスターに安全対策チームを設置し、感染抑制策を実施するという。

◇感染拡大を抑制
ハノイ市クオック・オアイ地区人民委員会のホアン・グエン・ウング副委員長によると、同委員会は感染拡大の深刻化を受けて、地元クオック・オアイ建設投資計画運営委員会と関連企業に対して、新型コロナの感染予防策と制御の手立てを厳密に実施するよう要請した。また、個々の企業に対しても、警戒感を強めるよう求め、各社経営陣から詳細な現状報告をするよう指示した。

ハノイ市トゥオング・ティン郡にある11の工業クラスターはみな、新型コロナの予防策や管理措置の厳密な遵守の重要性を重く見ているという。クアット・ドン第2工業クラスター内の同工業クラスター管理委員会は、情報を常にアップデートし、同郡区人民委員会に逐次報告を入れている。

同市ザーラム郡人民委員会のグエン・ズック・ホン副委員長は、同地区では、フーチ村、バッチャン村、キエウキィ村内の工業クラスターに対して、販売などのために感染者多い地区を頻繁に訪れる労働者や職人らのリストを作成するよう求め、今後、健康状態などのモニタリングを行うという。

ハノイ市工業輸出加工ゾーン管理委員会のチャン・アイン・トゥアン副委員長は、「管理委員会として企業に対し、監視の強化を求め、可能な限り早期に感染の発生を探知できるよう注意するよう求めている」と説明する。

◇コロナ安全対策チームの設立

ハノイ市人民委員会のチュー・ゴック・アイン委員長は、公式文書07 / CD-UBND号で、工業地帯や工業団地、工業クラスター、そして健康診断や治療を行う一部医療施設を対象にした従来の新型コロナ感染抑制緊急措置の内容を、さらに強化したと説明する。

これによって、ハノイ市工業輸出加工区内の管理委員会、ハノイ市商工局、各郡や村の人民委員会は、企業に対し、新型コロナ感染抑制と制御に向けたシナリオ作成を命じ、抜き打ちの現場視察を行うコロナ安全対策チームの設立や、規則などの違反に対する厳しい対処などが求められた。

ハノイ市労働連盟の報告によれば、すでに、ハノイ市のすべての工業地域や輸出加工区内の労働組合下部組織が、5月末までに新型コロナ安全対策チームを設立しているという。

新型コロナの発生数の増加とともに、工業地域や工業クラスター内で、感染予防策の不備も浮かびあがってきた。例えば、労働現場において、労働者同士の間隔が十分保てておらず安全とはいえない現状や、感染予防の情報発信が強化されていないことなどが挙げられる。特に問題視されたのが、新型コロナのPCR検査の検査費用についてだ。労働者らの賃金は、コロナの影響による業績悪化で引き下げられたにもかかわらず、約100万ドンもかかる検査の費用が自己負担とされているため、検査を敬遠する動きが見られるという。

ハノイ市商工局のダム・ティエン・タン副局長は、これらの問題点を踏まえ、生産チェーンの混乱を避けるためにも、財界と各郡・村の人民委員会、工業団地や工業クラスターなどが、感染の予防策や管理措置などに、さらに注意を払うよう推奨した。「感染が増えつつある現状では、企業は、新型コロナの感染予防措置と対策管理を、最高レベルで意識し実行する必要がある」と訴えている。